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韓国大統領選挙:文在寅氏が第18代大統領に就任

韓国では、昨年12月の国会の議決で、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の職務が停止され、

以降はトップ不在の状況が続きました。その後、朴前大統領はその職を罷免されましたが、

国内は大きく混乱し、対外的にも大きな影響を与えました。

そして今月9日、後任を決める大統領選挙の投票が行われました。その結果、最大野党

「共に民主党」の文在寅氏(ムン・ジェイン)氏が当選し、翌10日の結果確定をもって、

直ちに大統領に就任しました。トップ不在の期間は、5ヶ月で収束したことになります。

今回の大統領選挙では、文在寅、洪準杓(ホン・ジュンピョ)、安哲秀(アン・チョルス)の

3氏が有力候補と見られていました。いずれの大統領候補とも、いわゆる「慰安婦合意」の

見直しを掲げていたことは共通項ですが、それ以外のスタンスは大きく異なりました。

韓国の政党のスタンスを簡単にご紹介しますと、文氏の所属する「共に民主党」は革新系、

安氏の「国民の声」は中道、洪氏の与党「自由韓国党」(旧・セリヌ党)は保守です。

ただし、対北朝鮮政策では、共に民主党は融和路線、国民の声と自由韓国党は強硬路線。

これらのスタンスが、各候補者の政策にも見事に反映されていました。

選挙戦は当初から文氏がリードします。都市部や若者の幅広い支持を集めたことが要因です。

ところが、北朝鮮問題が深刻化するにつれて安氏が肉薄、一時は文氏に迫る勢いでした。

そして最終盤になると、与党の自由韓国党が、高所得者層・高齢者を中心に巻き返しを図り、

安氏の支持率が、洪氏に流れ始めました。

そして9日に投票が行われました。得票率は、文氏41.08%、洪氏24.03%、安氏21.41%。

ダブルスコアまでは行きませんが、文氏の圧勝という形になりました。

対北政策だけで票を見れば、強硬派の票が文氏を上回っています。しかし、韓国の国内は

貧富の差が激しく、特に若年層や低所得者層では、自由韓国党は不人気です。

対北政策で国内が二分している上に、文氏と安氏は、経済政策では両者の一致点も多い。

こうした背景も、文氏を有利にしたと思われます。

さて、新大統領に就任した文氏には、国内・国外ともに多くの課題が待ち受けています。

国内としては、経済の立て直しです。拡大する貧富の差をどれだけ抑え、特に低所得者層の

地位や生活環境を向上させることが求められます。

対外的には大きく2つ。1つは、北朝鮮問題です。韓国と北朝鮮は同じ民族の国家ですから、

太陽政策に方向転換するのは、止むを得ません。ただし、北朝鮮の非核化が進むようでは、

韓国にとっても、東アジア全体としても、軍事的な不安定要因が損存されてしまう。

日米韓の防衛協力を強いものにして、立ち向かっていくことが重要です。

そしてもう一つは日韓関係。文氏はいわゆる「慰安婦合意」の見直しを主張していますが、

これは政府間合意であり、政権が変わってもそれは有効。身勝手な破棄は許されません。

また、この問題に拘っていては、民間レベルでの反日反韓感情は到底収まらないでしょう。

文氏が宣言したとおり、「未来志向」で対応することを、強く望みたいと思います。

■韓国の新大統領、引き継ぎ期間一切なし 10日にも就任

(朝日新聞デジタル - 05月10日 07:06)