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『今度』の魔法

君が何気なく『今度』って言う。

私は、それに舞い上がる。

だけど、同時に悲しくもなる。

君の『今度』は気紛れに口から出た冗談だから。

誰にでもよかった『今度』だから。

それを真剣に受け取って期待する自分に疲れてしまう。

それでも叶う事のない『今度』に夢を馳せて、今日も空を見上げる。

私は君の本気でない言葉ですら疑う事が出来ないから。

そこに夢と期待を見るから。

君の気まぐれの『今度』が叶う仮想の未来が青空に白くたなびく。

その飛行機雲の向こうに『今度』が叶う並行世界。

私はそれに背を向けて歩く。

『今度』の世界に君といる私は幸せですか?

『今度』の世界にいる君は私の隣で笑ってますか?

だけど、本当は誰にでも良かったなんて思ってない。

君は私にだから『今度』と冗談で言ったんだから。

口から自然と出る、本気でない『今度』は私にだから言える事。

それでも『今度』でない朝、あなたの姿が見えなくて不安になる。

「おはよう」が言えない事が寂しい。

でも明日はきっと『今度』が来る。

「おはよう」と言うと、あなたは「おはよう」と笑う。

目が合うと、あなたは優しく微笑む。

それは紛れもない並行世界ではない、ありきたりな平凡な日常。

叶わない『今度』を乗せた飛行機雲に背を向けて、あなたに「おはよう」を言うために歩く。

あなたはそこに静かにいる。

『今度』が今日も明日も明後日も、あなたとの傍にあるように。

君の気紛れに振り回される『今度』も幸せ。

不確かではないあなたとの『今度』に安心するのも幸せ。

1つだけいえるのは、君の『今度』が気紛れでも、私は『今度』を信じてる。

そしていつか『今度』を叶える為に、君に会いに行く。

飛行機雲に背を向けるのではなく、想いを乗せるのではなく。

私自身を乗せていくから。

「おはよう」で始まる『今度』。

「おやすみ」で終わる『今度』。

今日はあなたに会えなかった。

でも明日という『今度』はあなたに会える。

気紛れの『今度』と、約束された『今度』。

悲しくて泣きそうで、嬉しくて泣きそうで。

切なくてどうにかなりそうで。

今一度、君に会うため、『今度』に向かって私は今日を生きる。

あなたに「おはよう」と言いながら。

その『今度』が今日を生きる私を支えているから。

君は大げさだと笑うかもしれないけど。

君は大げさだと呆れるかもしれないけど。

『今度』って冗談で笑った君をあっと驚かせたいから。

君が仕掛けた『今度』というトラップ。

私だけが打ち壊せるトラップ。

それは君の呪いの魔法。

それを解くのは私の魔法。

さぁ、決着のつかない『今度』の追いかけっこを、まだまだ続けようか。