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【偽書】虹メイル・アン 〔第六話〕緑の大地に英雄は眠る 19

「爆発の衝撃で金具が緩んでいたのでしょうか?まさか非常階段の鉄製のタラップが全て抜け落ちるとは…」

「多分に手抜き工事の部分も感じられますが。主要設備とは違い、非常通路など簡易設備などは厳しい完了検査など受けないでしょうから」

複雑に絡まる様に鉄骨に挟まれた二人はその腕一本すら自由に動かせない状態だった。

「リンダのトラップに絡み取られた気分ですね」

「面白くない例えですよ。サニー」

「すいません。何だかルナの様な事を言ってしまいましたね」

「全くあの黄色は今頃何を」

カレンはやれやれと言った顔をした。

「あなた、不思議なメイルね。こんな道すがらで花を手向けるなんて随分風流だこと」

「ルナがメイルだって分かるの?」

「勿論よ。だけど誰の使いでこんな場所に花を?」

「誰でも無いよ。ルナの意志でこうしているんだよ」

「あら。あなた自身で?何の為に」

「人を弔う為だよ。供えた花は忘れていないよと示すものでしょ」

「確かにメイルならば記憶媒体に生死のデータは残るでしょう。でも機械としては非合理的よね。献花なんて」

「別に合理的だなんて関係ないよ。ルナはそうしたいだけ」

「そのアルゴリズム、思考回路に興味があるわ」

女性は右手を着ているロングコートの中に忍ばせる。

「おばさん。まさかルナを分解する気?」

「口の悪いメイルね。分解はしないわ。だけど」

女は濃灰色のロングコートから小型の電磁銃を取り出す。

「これで一時的にエネルギーを停止させてもらうわ。生身の人間ならショックで仮死状態くらいにはなるんでしょうけど」

身構えるルナに冷ややかに言い放つ女。

「飛びかかったり逃げたりしても無駄よ。何かあれば“メイルが急に人間である私に襲いかかってこようとしたので破壊しました”と言うだけだから。すぐに済むわ。大人しくしていてくれたら」

そう言って反対の手にメイルの頭脳であるシステム破壊用の禁制の磁界強化銃を握る女。

「地下に繋がる電源ケーブルを発見。通電を復旧させました」

ー「了解」

難波刑事(さん)が安堵の声で短く答える。

「これで電気錠やエレベーターなども復旧させられたね」

「後は地下の技師達が上に非難して来れれば人間は全て退去させた事になります」

「残るはサニーとカレンの回収だね」

「その前にメトルダウンの阻止ですね」

「余り時間は無いね」

「逃げ出しますか?私達が核融合で溶けてしまう前に」

偽書】虹メイル・アン 〔第六話〕緑の大地に英雄は眠る 18

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